知られざる九谷焼の赤絵、「加賀赤絵」――。
中国との交易を通して日本にもたらされた陶磁器の名品は、大名や大商人、茶人たちに大きな憧れをもって受け入れられました。特に、華やかな赤絵は人々の心を魅了し、茶の湯や食文化の円熟とともにわが国独自の発展をとげていきます。
加賀藩では、江戸時代後期に京都の名工・青木木米を招き、藩の春日山窯で中国赤絵の写しなどを作らせようとしました。その技術と意匠は、若杉窯、宮本屋窯など再興九谷諸窯に受け継がれるうちに細描化し、全面を小紋と絵画で埋め尽くした独特の作風を生み出します。幕末に京都から永楽和全が金彩の技術を伝え、赤絵金彩が出現します。明治時代に入ると、赤と金で彩られた九谷焼は主力輸出品のひとつとなり、フィラデルフィアやパリの万国博覧会に出品されて一大ブームが起こりました。
本展は、前田利常が寄進したといわれる中国・明代の「万暦赤絵 五彩大花瓶」(那谷寺蔵)から、江戸時代の再興九谷諸窯、万博などに陳列されたジャパンクタニ、そして現代まで、加賀赤絵の名品約150件を一堂に集めて、その華やかな美の系譜を紹介します。
魅惑の赤、きらめく金彩
加賀赤絵展
■11月8日(木)→26日(月)
■8階 ホール
日本橋高島屋(タカシマヤ)
〒103-8265
東京都中央区日本橋2丁目4番1号